カナダ移民申請、申請から取得まで(まとめ)

昨日、家に永住権が届き、やっと3年6ヶ月にも渡った永い戦い(?)が終わりました。

ここまで時間がかかってしまったのは、メイン申請者である私の彼氏が、(親の都合で)海外を転々としていたために学歴を明確に証明できなかったり、学生時代に知り合った人の会社設立を手伝い、その間、無償で働いていたため、職歴としてカウントすることができなかったりと、いろいろ理由があるのですが、なんといっても、

「担当オフィサーが、難しい人だった」

が一番の要因だったと思います。

申請前に、「移民申請は、担当オフィサーの裁量でどうにでもなるもの。意地悪なオフィサーに当たったら悲惨だよ」という話は聞いていたけど、運悪く、そんなオフィサーに当たってしまったのでした。

でも、意地悪なオフィサーに当たったとしても、オフィサー自身も「下手なことをしたら申請者に訴訟される」立場にあり、理由なくして移民申請を却下することはできません。私たちの担当オフィサーは、何度も何度も追加書類を請求して、(弁護士さん曰く)「こちらから、申請を辞退させようとしている(※注)」ようだったのですが、その都度、担当オフィサーの要求以上のものを提出し、「申請却下」の要因を与えないよう気をつけてきました。

(※注) 移民局も“組織”のひとつで、いろんな申請者に何度も訴えられるオフィサーは、局内での評価が低くなります。担当オフィサーは、無理矢理申請を却下して後で訴えられるより、申請者から申請を辞退するように仕向けたかったのだと思います。

そんな“粘り相撲”を3年6ヶ月も続け、最終的に、担当オフィサーが交代(もしくは担当が複数のオフィサーになった?)となり、状況が一気に好転し、永住権を取得することができました。

「今、カナダへ移民申請を考えている人」、「移民申請中の人」にはこのエントリが参考になるように、ここに私たちの移民申請のプロセスとタイムラインを載せたいと思います。

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※※※ 注意 ※※※
ここに載せるプロセスは、2007年1月当時の移民法により審査されたプロセスです。現在は法律が変わっており、プロセス・必要申請書類等が一部変更されています。現在の移民申請についての情報は、カナダ移民局Webサイトにて確認してください。

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申請区分: Federal Skilled Worker Class
仕事区分: Multimedia Software Developer (NOC 9990.4)
メイン申請者 国籍:台湾生まれ→12歳でシンガポールに移民→17歳でシンガポールの永住権を放棄→台湾のパスポートを持って17歳でカナダに移住 カナダ在住:(申請当時)9年
サブ申請者 国籍:日本 カナダ在住:(申請当時)2年

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■2007年1月19日、移民カウンセラーを通して、移民申請書類をバッファローに送付

<送付したもの>
・Application for Permanent Residence in Canada
・Schedule 1 / Background/Declaration
・Additional Family Information
・Use of a Representative(移民カウンセラーを登録)
・Fee Payment Form($550/person)の支払いレシート
・銀行の残高証明書
・パスポートのIDページ、スタンプページ全てのコピー
・滞在した国全ての警察証明(メイン&サブ両方)
・台湾の出生証明書(メイン)
・戸籍謄本を領事館に持って行き、作成した日本の出生証明書(サブ)
・当時通っていた学校の在籍とコース終了時期を明記したスクールレター(メイン&サブ両方)
・当時通っていた学校の成績証明書(メイン&サブ両方)
・それまでカナダで卒業した学校の成績証明書と卒業証明書(メイン)
・日本で卒業した学校の成績証明書と卒業証明書(サブ)
・Job Reference Letter(前働いていた会社の就業証明。職歴を証明するために使用)(メイン)
・前働いていた会社の雇用契約書(メイン)
・Job Offer Letter(「もし移民したらウチが申請者を雇うことを保障します」という文面入り。今働いている会社の就業証明として使用)(メイン)
・CELPIPスコア(メイン)
・Statutory Declaration of Common-law Union

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■2007年2月6日、ファイルナンバー取得

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■2007年8月31日、申請書類がバッファローからシアトル(Canadian Consulate General in Seattle)に転送

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■2007年12月20日、追加書類リクエスト

・これまで通った全ての学校の卒業証明書と成績証明書(メイン&サブ両方)(再提出)
・これまで働いた全ての会社の雇用契約書(メイン)(再提出)
・Job Reference Letter(会社の就業証明。最新の状況を報告するためのUp-to-date用)(メイン)(再提出)
・Job Reference Letterとは別の、過去と現在の雇用を証明する書類(メイン)(再提出)
・2005年と2006年の収入証明のためのT4
・2007年の収入証明書類
・銀行の残高証明書(再提出)
・Arranged Employment
・二人の関係を証明するもの(Statutory Declaration of Common-law Union(notarized)(再提出)、写真など)

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■2008年3月26日、2度目の追加書類リクエスト

・過去12ヶ月の給料明細
・2005~2007年のT4
・過去12ヶ月の銀行の取引明細書(提出3回目)

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■2008年12月5日、インタビュー免除通知、健康診断受診依頼、Right of Permanent Residence Fee支払い依頼、そして、3度目の追加書類リクエスト

・パスポートサイズの証明写真(各自2枚)
・高校の卒業証明書(メインのみ)(提出3回目)
・過去6ヶ月の給料明細と銀行の残高の取引明細書(提出4回目)
・Schedule1(Background/Declaration )のアップデート(再提出)

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■2008年12月24日&29日、健康診断受診

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■2009年1月19日、4度目の追加書類リクエスト

・高校の卒業証明書(メイン)(リクエスト3回目)

Skilled Worker Classでは、健康診断は通常、審査を終えている申請者に依頼されます。健康診断を済ませ、Right of Permanent Residence Feeの支払いを終えていてもまだ担当オフィサーから追加書類をリクエストされるため、「これはおかしい」と思い、彼氏が働いている会社の社長に相談しました。そしたら、会社の顧問弁護士がいつも一緒にランチを食べる同僚が「移民弁護士」だということで、その移民弁護士を紹介してもらえることになりました。

移民弁護士にメールと電話で状況を説明し、担当オフィサーの名前を伝えたところ、

「あーっっ、僕、このオフィサー知ってる!というか、別の依頼者からこのオフィサーの案件を依頼され、ついこの間、終えたところだよ。この人、シアトル移民局で一番難儀なオフィサーだから。向こうも僕の名前知ってるし、こっちはこのオフィサーに対してどう対応していけばいいか知ってるから任せてよ」

という力強い言葉をもらい、今後、担当オフィサーとの折衝はこの移民弁護士に任せることになりました。社長の好意により、弁護士代は全て会社持ちとなりました。

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■2009年2月12日、Use of a Representative(移民弁護士の名前)を提出、4度目の追加書類リクエストの内容に対して、移民弁護士を通して折衝開始

意見書を送る前に、弁護士が担当オフィサーにメールを送り、担当オフィサーが私たちに何を求めているか(何が引っかかって永住権を出せないのか、それを解消(納得)させるために、どんな追加書類を求めているのか)を聞きました。

すると、「学歴ポイントがカウントできない」ということでした。

メイン申請者は、高校3年の学年末テストを受けずにカナダに来て、それからカナダで高校卒業資格テストをパスし、Collegeに進学、Diplomaを3つ取得しているのですが、担当オフィサーは「シンガポールで高校を卒業していないから、学歴ポイントはゼロ。カナダで高校卒業資格テストをパスしようが、Collegeに通おうが、Diplomaを持っていようが、シンガポールで高校を卒業していないなら、やはりポイントはゼロだ」という見解でした。

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■2009年2月18日、担当オフィサーに意見申し立てをする

意見申し立て後2ヵ月間、担当オフィサーから何も返事がないので、「意見書、届いてますか?」と問い合わせしたら、「審査は、他の複雑でない申請(non-complex cases)を先に片づける。それらが終わったら、君ら“問題”のケース("problem" case)に手を付ける」と言われました。

そして、少し経ってから返事が来たのですが、「それでも僕の意見は変わらない。この申請者の学歴ポイントはゼロだ。もし状況を覆したかったら、申請者が移民した後、カナダで仕事を見つけ、自活していくことができるということを証明する書類と、就業を約束している会社のレターを提出しなさい」ということでした。

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■2009年6月12日、5度目の追加書類リクエスト

・前働いていた会社の雇用契約書(再提出)
・前働いていた会社のレター(仕事内容、雇用期間について)(提出3回目)
・会社のレター(移民完了後の雇用保障、役職、保障給与額 by 社長)(再提出)
・スキルを証明するレター(仕事内容と相方のスキルレベルについての見解 by 上司)
・2008年度のT4(reassessment)
・シアトル移民局から、2008年3月26日に送られた2度目の追加書類リクエストのレターと、その際に送った追加書類全てのコピー
・会社のGST登録ナンバー
・2008年3月31日付けの、給与明細
・2008年1月1日~4月8日までの銀行の明細書(提出5回目)

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■2009年8月14日、6度目の追加書類

・2006、2007年度のT4(reassessment)

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■2009年10月7日、7度目の追加書類リクエスト

担当オフィサーのメールより、

「会社のレターの出来が要求以上に“素晴らしい”けど、僕はこの申請者は高校を卒業していないとみなすから、やっぱり学歴ポイントはゼロだ。This serves to reduce his score to well below the pass mark. I realize you disagree with this analysis but it is what it is. 意見書や追加書類がどれだけ送られて来ようが、申請者のポイントはパスマークを満たしていない。これが僕の見解だ」

「もしそれに不満だったら、僕の上司(the Programme Manager in this office)に、このケースについて意見を求めてもいい」

「もし申請者が、雇用契約書通りの給与をもらっているなら、会社が申請者を今後も継続的に雇っていく従業員であるとみなそう。2008年度のT4 assessmentを提出しなさい」

ということでした。

2008年度のT4(reassessment)は6月に送っているのですが、担当オフィサーは「受け取っていない」と言うので、再度提出。

よって、追加書類は、

・2008年度のT4(reassessment)(再提出)
・会社のレター(雇用証明と、会社が携わっているプロジェクトについて)(提出3回目)
・2009年7~10月の銀行の取引明細書(提出6回目)

そして、担当オフィサーが「会社が、申請者を移民完了後も継続して雇用すること」を全く信じてくれないため、申請者を正式に会社の取締役にしました(会社創業メンバーの一人だったので、取締役になることができました)。

・Notice of Articles - Business Corporation Act(会社登録書(申請者の名前 in 取締役リスト))

も、提出しました。

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■2010年1月14日、8度目の追加書類リクエスト

前年(2009年)の4月にプロジェクトがキャンセルになり、会社の資金繰りが悪くなり、給料が減額されていたのですが、それについて担当オフィサーより、

・いくら会社の取締役になろうと、資金繰りが悪ければ、会社自身の存続も危ない。継続雇用は難しい
・支払われている給料が、雇用契約書に明記されている額より少ない

よって、前回送られて来た

・会社のレター(雇用証明と、当時、会社が携わっていたプロジェクトについて)
・Notice of Articles - Business Corporation Act(会社登録書(取締役リスト込み))

は、審査においてプラス要因とすることはできない。

また、いくら申請者が18歳より(←担当オフィサーの勘違い。実際は17歳)11年間継続してカナダで暮らし、カナダで学校に通い、カナダで働き、普段、英語を使い、雇用保障があるとしても、高校を卒業しておらず、また、申請者が働いている会社は創業間もない会社で規模も小さく、業績も安定していないため、申請者のマイナス要因は覆すことはできない。

よって、

・上記のマイナス要因(concern)を改善させるもの
・銀行の残高証明書($13,801以上)

の2点を追加書類として提出しなさい、とメールがありました。

弁護士は、「多分、これが最後の追加書類リクエストだね。この追加書類を送ったら、担当オフィサーは最終決定を下すと思うよ」と言いました。

そして、今回は「会社のレター」ではなく、弁護士自身による「意見申し立て」という形で、

・プロジェクトキャンセルの理由、北米のゲーム業界の現在の状況についての説明、契約の取れそうなプロジェクトについて説明(クライアントのやり取りのメールを開示(←これは本来やってはいけないのだが、今回は緊急事態なので使用しました))

・「申請者は、スキルの幅広さから複数の職務を手がけることができ、同等の能力を持った人材をカナダ人の中から見つけるのは非常に難しい」と説明し、スキルの詳細、仕事内容についてさらに具体的に説明

を述べ、

・銀行の残高証明書(指定の額より大幅に多い金額で)(提出7回目)
・Statutory Declaration of Common-law Union(最新版)(提出3回目)

を追加書類として提出しました。

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■2010年4月10日、9度目の追加書類リクエスト&連絡事項

・Schedule 1 / Background/Declaration(提出3回目)
・日本の警察証明(2006年12月の証明で、期限が切れているため再提出)(提出2回目)

以上2点の再提出の指示に、「今、2007年12月に行われた健康診断(有効期限1年)の結果を延長するよう、オンタリオの移民局に伺いを立てている」という文章が追加されていました。

それまで、「担当オフィサーの名前@international.gc.ca」のアドレスからメールが来ていたのですが、このメールから送信元のアドレスが「シアトル移民局@international.gc.ca」となりました。ここで、これまでの担当オフィサーが交代、もしくは担当が複数のオフィサー(チーム)になったような印象を受けました。

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■2010年7月9日、パスポートリクエスト

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■2010年7月28日、永住権取得☆

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以上です。

弁護士に依頼する前までは、このブログに移民申請の経過を詳しく書いていたのですが、弁護士さんと移民局のオフィサーのやり取りの内容は、折衝中はネットで公開することができなかったので、今回このエントリでそのブランクを埋めるために、過去1年半のメールを一気に読み返しました。全部で107通、エントリ書くのが1日作業になりつつあります(汗)

弁護士と担当オフィサーのやり取りを読んでいて思うのは、「“文章”は物事を正確に表現することができない」です。たとえそれが「法律」を制定するために綴られた文章であってもです。

弁護士は、法律の文面を超解釈して、己が理論をこねくり回して、私たちを有利に持っていこうとします。しかし、担当オフィサーは同じ法律の文面を全く違う解釈をして、弁護士に「君の解釈に僕は納得できない」と反論します。傍から見れば、「同じ文章」から「違う理論展開」をし、そのため「違う結論」にたどり着いているようなものなのですが、ずっとそんな理論闘争を繰り返し、全く歩み寄ることが無く、そのうち、メールの文面より、お互いがイライラしているのが見え、こっちがハラハラしっぱなしでした。

でも、弁護士は、私たちの案件を引き受けた直後から、移民関係のコンフェレンスに積極的に出席し、担当オフィサーの同僚や上司を捕まえて、このケースについて意見を求め、担当オフィサー以外のオフィサーに私たちの申請の状況を伝え続けました。きっと、私たちのケースは、シアトル移民局内で有名になっていたと思います。そのお陰なのか、途中で別のオフィサーも審査に加わり、担当オフィサーの独断のみで審査を進めることができなくなっていたようです。(弁護士さんは「担当オフィサーのことを知っている」と言っていたので、これが弁護士さんの作戦だったのかもしれません)

担当オフィサーは私たちの申請をどうしても却下したかったみたいで、メールの中で否定的な見解を何度も何度も言ってきました。私も段々凹んできて、「担当オフィサーの言うとおりなのかな。永住権、諦めたほうがいいのかな」と気弱になっていたら、弁護士は、

「犯罪歴が全く無く、特別な職業技能と就業経験があり、先の雇用保障があり、英語も問題なく、メイン申請者に至っては人生のほぼ半分をカナダで住んでいる状態なのに、その申請者を却下するのであれば、じゃあ、他の申請者はこれ以上に完璧なのか? いや、全然悪条件の人間にも永住権がガンガン下りている。この担当オフィサーは間違っている。審査の進め方も、おかしなところが多過ぎる。却下されたら余裕で訴訟に持っていけるケースだよ。負けるもんか。僕は戦うよ」

と、表情を変えずに穏やかな顔で励ましてくれました。

いつもふざけてばかりな彼氏も、この時ばかりは真面目な顔で、

「諦めたらそれで終わりだよ。そんなの、オフィサーの思うツボじゃん。辛いかもしれないけど、そんな悲しい顔するな。一緒に頑張ろうよ。却下されたって、他に道はいくらでもあるよ」

と、意外に強い一面を見せてくれたりもしました。

思えば彼氏は、5年前出会った頃は10代のような風貌で、何もかもちゃらんぽらんで気楽な子だったのに、この移民申請で苦労したお陰で、段々、「慎重さ」と「責任感」が身に付き、見違えるほどたくましくなりました。そう思えば、この3年6ヶ月も、ムダではなかったのかな。

私も、「空を仰ぐ」気持ちを知ることができたし。

この移民申請期間中、実質的にサポートしてくれた、弁護士&社長、本当にありがとうございました。そして、元気のない私を励まし続けてくれた友達みんな、その励ましがどれほど心の支えになったか。感謝してます。ありがとう、

さて、これから、このカナダでやりたいことがいっぱいあります。
これまで、ビザの制約でできなかったたくさんのことが、一気に可能になりました。
これまでの反動もあるし、ガンガンいきます!

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