カナダと日本の医療システムの違い

移民申請のプロセスが進んでいくにつれ、段々カナダで永住することに現実味が帯びてきました。しかし、すでに3年間バンクーバーに住んでいながら、未だにこの国の健康保険や年金のシステムについて、いまいち分かっていません。

移民後も、身体的にも経済的にも健康的にカナダで暮らしていくために、この国の健康保険や年金のシステムをちゃんと知っておかなければと思い、今日、日系のヘルスケア協会とビジネスグループが共催する“2008年特別健康講座”というセミナーに行ってきました。

内容は、「カナダの医療システムについて」。特に、「パネルディスカッション:病気になったら、カナダと日本、どちらで治療すべき?」がとても参考になりました。

病気になったら、日本では自分で病院を選び、予約なしで病院に行って診療してもらいますが、カナダではいきなり病院(専門医)に行くことはできません。まず、一家の健康を管理する“ファミリードクター”に診療してもらい、ファミリードクターの紹介で専門医のいる病院に行きます。

ファミリードクター制度の利点は、

・ファミリードクターはひとつの専門につき複数の専門医を知っていて、患者に合った専門医を紹介することができる。
・治療の際は、ファミリードクターと専門医、リハビリ、ソーシャルワーカーなど複数の専門家がチームを作って患者を看る。

ファミリードクター制度の欠点は、

・ファミリードクターに診察してもらうには、予約が必要(駆け込みの場合は、救急医療室もしくはウォークイン・クリニックへ行く)
・健康な人には、定期健診をしない(すると違法になる)。
・自分のファミリードクターがリタイアした場合、新しいファミリードクターを見つけるのが難しい(カナダはファミリードクターが不足している)。

そして、もし病気になった場合、カナダか日本か、どちらで治療した方がいいか?については、

命にかかわる重病(ガンなど)は→カナダで治療

<理由>
・国の皆保険(BC州でいうとMSP)で治療費(手術代&術後の薬代など)が100%カバーされる。
・いろいろな専門家(ファミリードクター、専門医、リハビリ、ソーシャルワーカーなど)が患者のカルテを共有して治療にあたる。
・術後すぐ家に帰らされるが、術後治療に看護士が家まで通ってくれる。

<ケース>
・腎臓ガン
 →告知から手術まで2週間。
(クリスマスホリデーなどと被ると待たされる。休暇のない11月が狙い目)

命にかかわらない病気(骨の整形手術など)は→日本で治療

<理由>
・手術が早い
・説明が日本語で安心

<ケース>
・ひざの骨の整形手術
 →カナダの医者には手術を受けるには1年3ヶ月待たなければいけないと言われたため、日本に帰ったら1ヶ月で手術を受けることができ、手術後、同じ病院で5ヶ月間リハビリすることができた(カナダだと手術とリハビリは別施設、リハビリ期間は3ヶ月)。

ちなみに、日本で治療するには、日本の保険に再加入しないといけません。もし、カナダで市民権を取らずに日本国籍を持ち続け、住民票を“海外転出”という状態にしていたら、日本に帰国してすぐに役所に行って“転入届け”を出すことで国民健康保険に再加入することができます。日本国籍を失っていても、日本に3ヶ月以上住むと“外国人枠”で国保に加入する権利を得ることができます。

しかし、会場にいた大阪出身の人で、帰国してすぐに国保に入ろうとしたら、役所の人に「あなたにはその資格がない」と(とても意地悪な言い方をされて)入れなかったという人もいました。市町村やその人の状況によって加入資格が変わるようです。

あと、実は私、カナダに住むのが長くなった際には、カナダの市民権を取ろう(=日本国籍を失う)と考えていました。カナダの市民権があるかどうかは、選挙権が得られるかどうかの違いしかないのですが、もしこの国でずっと生活していくのであれば、ちゃんとこの国の制度に絡んでいった方がいいと思ったからです。彼氏は現在カナダ在住10年で、移民したら速攻市民権を取ると言っているし、将来の私たちの子供はカナダ国籍になるだろうし。家族皆、カナダ国籍なのに、私一人日本国籍なのは、仲間外れのようでなんだか嫌だなと思ったからです。

しかし、今日のパネルディスカッションを聞いて、今後、もし自分が病気になった時のために日本国籍をキープし、いつでも国保に再加入できる状態にしておいた方がいい(カナダの市民権を取らず、日本国籍を保持する)のかもしれないと思い始めました。

とりあえず、移民が終わったらすぐにファミリードクター探しを始めたいと思います。その後、彼氏を連れて日本に一時帰国する予定ですが、その際は、人間ドックに入ります。(こっちに長く住んでいる日本人に「人間ドックはカナダに存在しないすばらしいシステムだから、帰国する機会があったらやっておいた方がいいよ」とすごく勧められているからです)

カナダでは、所詮、私は外国人。まだまだ分からないことだらけ。実は不安でいっぱいです。

だから、これから少しずつ、カナダで生活するための知識を頑張って学んでいきたいと思っています。

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