「思い込み」の危うさ


夏休みが明け、今日からLINCクラスが再開しました。

新学期に伴い、新たに5人の生徒がクラスに加わりました。彼らの国籍はスペイン、ウクライナ、イラン、ブラジル、中国と様々。その中の中国人の生徒が私の隣の席に座り、授業の中のディスカッションや休み時間などで、その生徒と話をする機会がたくさんありました。

そこで、私の思慮が足りなかったために、ある“失敗”をしてしまいました。

今月のクラスのテーマは「Immigration and multiculturalism(移民と多文化主義)」。先生からテーマに関連した質問シートが配られ、生徒同士のディスカッションで授業で取り上げるトピックを決めるよう言われました。その質問の中には、「最近のカナダ移民の動向はどうか?」というものがありました。

ディスカッションで私が「数年前に投資移民が廃止されたけど、それで中国人移民は少なくなったのかな?」と言ったら、隣の中国人生徒が「どうしてそう思うの?」と聞いてきました。

「バンクーバーで出会う裕福な中国人は、ほとんどが投資移民だから、どうしても“投資移民=中国人”という印象がある。投資移民制度が廃止された後、中国人はそれまでのようにカナダに移民することができなくなってしまったでしょう?だから、少し中国人移民が減ってしまっているのではないかと思うのだけど、実際はどう?(※)」

と言ったら、中国人生徒に、

「減ってるわけないじゃない。投資移民が廃止されても、他に移民する方法はたくさんある」

と、少し怒った口調で言われました。

そこで気付きました。もしかしたら、彼女自身が投資移民ではなく、他の方法(たとえばSkilled Workerなど)で移民したのではないかと。だとしたら、彼女が気分を害するのも無理はありません。私が彼女を投資移民と決めつけているように聞こえ、さらに中国人は投資移民クラスしか移民する方法がないと言っているようにも聞こえるからです。

私自身これまで、初対面の人に“一般的な日本人像”を押し付けられて気分を害したことが何度もありました。

「あなたは日本人だから、抹茶が好きなはず」
→ 抹茶の味が苦手です。できれば口にしたくない。

「日本人女性は従順諾々。甲斐甲斐しく夫の世話をし、いつも夫を立てるのでしょう?」
→ 立てません。世話はしたりされたりで、お互い支え合ってます。

と、何度、否定してきたことか。

すぐに、自分がされたことと同じことを彼女にしてしまったことに気付き、すごく恥ずかしくなりました。その時にはグル―プディスカッションが他のトピックに移っていたので、それ以上、話を続けるのを止めました。

今後は、一般論や自分の一方的な思い込みよりまず先に、その人自身を見るようにします。もっと自分の言動に気を付けなければいけないと思いました。

※ 実際の投資移民廃止に伴った中国人移民の数の推移は、カナダの移民の統計が、現在、2014年までしかなく、投資移民廃止後の2015年度の数字と比較することができないため分かりません。カナダ移民局はここ10年、中国からの移民の受け入れを減らしていますが、それは(投資移民とは関係なく)カナダ国内で中国人の割合が多くなってきたので、減らすよう調整をしたためと思われます。

参照:Facts and figures 2014 – Immigration overview: Permanent residents 

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