はじめてのピアノ


娘といっしょに、ピアノを習うことになりました。

去年、娘に場面緘黙症の疑いがあると知ってから、少しでも娘の状態が良くなるよう、デイケアの先生やBC Centre for Abilityのカウンセラーのアドバイスを元に、いろいろ奮闘してきました。

その努力が実ったのか、それともただ単に娘が成長したのか、日々のアップダウンはあるものの、娘の行動が少しずつ改善されてきているように思います。年末年始、シンガポールからおじいちゃん(爺爺)とおばあちゃん(奶奶)がバンクーバーに来てくれて、たくさん遊んでもらったのがよかったのかもしれません。もしくは、デイケアやプリスクールで新しい友達がいっぱいできて、毎日楽しく過ごせるようになったことも、彼女にいい影響を与えているのかもしれません。

とても神経質で難しい子供であることは変わらないのですが、彼女なりに日々成長しています。

そこで、普段、気が張っている娘に少しでもガス抜きになればと思い、ピアノを習わせることにしました。

コミュニティセンターやピアノ教室などの新しい場所に行くと、娘が心を閉ざしてしまう恐れがあるので、我が家まで出張してもらえることを条件に先生を探したところ、紹介で条件に合う方が見つかりました。

時間や料金について話し合いをしていた時、先生から「4歳児は1時間続けて集中するのは難しいから、30分のレッスンから始めましょう」と言われました。しかし、せっかく自宅まで出張してもらうのに30分だけなんて、移動にかかる時間を考えると先生に申し訳ない気分になり、「じゃあ、私も一緒に習ってもいいですか?娘30分、私30分の、合計1時間でお願いします」と聞いてしまいました。先生からは、快くOKしてもらえました。

昔、日本の私の実家に、戦前から受け継がれてきたとても古いアンティークのオルガンがありました。オルガンの外箱は全く塗装が無く木目調で、表面には花や草のモチーフの飾り彫刻が施されており、表面はニスが塗られてツルツルした光沢がありました。私はそのオルガンで遊ぶのが大好きでした。

でも、オルガンの蓋を開けて弾いてると、「蓋が突然落ちると手が挟まって危ないから」と言う理由で、よく母に止められました。だから、母がキッチンで忙しくしている間(食事の準備や後片付けをしている時)、こっそり弾くようにしていました。当時4歳だった私は、母が言う「オルガンの蓋」が原因というよりは、自分が小さ過ぎてオルガンの扱い方を知らず、壊してしまうかもしれないからオルガンを弾くと怒られるのだと信じ、だったら、もう少し大きくなったら、小学校に入ってから、母にちゃんと頼んで、オルガン教室に行かせてもらおうと思っていました。

ところがそのオルガンは、ある日、突然、家から消えてしまいました。「弾ける人が誰もいないから」という理由で、母が骨董屋に売ってしまったのです。その時の絶望感は、今でも覚えています。その日の夜は、布団に入ってから何時間も眠ることができませんでした。

それからずっと、鍵盤楽器に縁がないままこの年になりました。あれから35年近く経ち、まさかのチャンス。電子ピアノを購入することになり、先生も見つかり、スケジュールも取れたのです。パートナーにずっと鍵盤楽器を習いたかったということを話したら、「〇〇(娘)もママがいっしょに習うのであれば喜ぶと思うよ」と、背中を押してくれました。

ピアノは、夜でも練習できるるよう、電子ピアノを用意することにしました。購入したのは、カシオのCDP-230R。鍵盤数がフルサイズ(88鍵)であることと、キータッチが生ピアノに近いという条件でこの電子ピアノを選びました。昨日、家に届き、今日、設置をしたのですが、思いのほか鍵盤が重いです(キーボードに慣れていたから)。でも、電子ピアノとは思えないほど、重厚でとてもいい音が出ます。

私が音を確かめていたら、娘が「これは私のピアノ!〇〇ちゃんが弾くの!」と言って私を押しのけピアノを独占し、それからずっと娘はピアノで遊んでいます。説明書も読んでいないのに、いろいろなボタンを押して、音の替え方や、リズムやサンプル曲の再生方法を見つけて、すっかり娘のオモチャとなりました。(家にはカシオのミニキーボードSA-46があり、基本動作を知っていたからかもしれません)

そのうち、娘が「見て見て!」と言うので見てみたら、ピアノと一緒に付いてきた楽譜を開いてサンプル曲を再生し、それにかぶせるように(でたらめに)両手で弾いて、あたかもピアノから流れる音色は自分が弾いているようなフリをしているので、笑ってました。(この時の得意満面な顔といったら!)

いつかフリではなく、本当に弾けるようになるといいね。
お互い、やるからには続けていこうね!

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