スピーチセラピー・言語能力アセスメント



9月10日と今日の2日間に渡り、Raven Song Community Health Centreにて、娘のスピーチセラピーの言語能力のアセスメント(査定)を受けてきました。

今回のスピーチセラピーのアセスメントは、5ヶ月前にThree Bridges Community Health Centre予防接種を受けた際、娘の語彙が少ないことをナースさんに相談したら、我が家がトライリンガル(3ヶ国語)環境と特殊であるため、スピーチ・パソロジストによるセラピーのアセスメントを受けてみてはどうかと勧められたものです。

私は、娘の言語能力の発達について懸念があります。それは、母親である私の言語能力の「口頭言語(口頭による他者とのコミュニケーション)能力」と「書記言語(文字にして記録に残す文章作文とそれを読んで情報を得る)能力」が極端にかけ離れており、それが娘に遺伝していないかという懸念です。

私は小学校入学当時、まだ他者と口頭によるコミュニケーションがうまく取れない状態でした。しかし、当時すでに(絵本ではなく)文章だけの単行本や新聞を読んでおり、日本語はしっかり理解できていました(小学生高学年で習うような漢字も読むことができていました)。自分の言いたいことを紙に文章で書かせてくれれば的確に表現することができるのに、口頭ではうまく伝えられないことをとてもストレスに感じ、時には口数が少な過ぎて周りに誤解を生んでしまうこともあり、それが子供ながらとても辛かったです。そういう状態が、中学ぐらいまで続きました。

だから、娘がもし同じ問題を抱えていたら、その問題が大きくなる前になんとか対処できないものかと思い、まずはスピーチセラピーのアセスメントを受けることにしました。

スピーチ・パソロジストのオフィスには、子供用の机とイス、そしてオモチャがいっぱいありました。私とスピーチ・パソロジストは子供用のイスに座り、娘は床の上に座ってオモチャを与えられたところで、アセスメントのためのインタビューが始まりました。

質問内容は大まかに、

Developmental History

・子供を妊娠中、母体に異常は無かったか
・予定日より早く、それとも遅れて生まれたか
・生まれた時の状態は?正常か、それとも未熟児だったか
・生後何ヶ月で歩き始めたか
・食事に問題は無いか

Speech and Language History

生後6ヶ月までに喃語を喋ったか
現在、どのようにして子供とコミュニケーションを取っているか
いつ、(単語・二語文・三語文)を話し始めたか
子供はあなたの言うことを理解しているか
子供はあなたの指示に従うか(2段階指示(「床の上にあるボールを拾って、机の上に置いて」など)にも従えるか)
ジェスチャー無しでシンプルな動作(ジャンプ、目をつむる、口を開ける、ハグなど)をするよう指示したら、それに従うことはできるか
子供は本の読み聞かせを楽しんでいるか
子供の言うことが理解し辛いか

Medical History

子供の現在の健康状態はどうか
これまでに入院したことはあるか
今、投薬を受けているか
アレルギーはあるか
中耳炎になったことはあるか

Social History

他の子供と遊ぶ機会はあるか
子供の振る舞いで心配事はあるか
一日に何時間テレビを観るか
子供の好きなアクティビティは何か

などでした。質問は全部で100以上あったと思います。全部の質問に答えるのに1日では時間が足りず、2日目を合わせ、合計3時間半かかりました。(このアセスメントは、私だけではなく他にも多くの人が2日間に分けて行っているそうです)

私がインタビューを受けている間、娘は私の後ろで床に座ってオモチャで遊んでいたのですが、スピーチパソロジストさんは私に質問しつつ、何度か娘に視線を向けていたそうです。パソロジストさんによると、娘を見つめると、娘は怪訝そうな顔で睨み返していたそうです。私は「この子は人見知りが激しくて、知らない人を睨む癖があって・・・」と説明したら、「このぐらいの月齢の子供は、知らない人に見つめられたら“この人誰?”と怪訝な顔をするのは正常なリアクションですよ。私が彼女を見つめる度、彼女は私の視線に気付いているので、彼女は自閉症ではないようですね。自閉症だと、他人の視線に気付かないので」と言われました。

全ての質問が終わったところで、パソロジストさんが娘のアセスメントの結果を話してくれました。

言語能力については、家が3ヶ国語環境(母親・日本語、父親・中国語、共通言語・英語)と複雑で、現在1歳11か月とまだ幼な過ぎるということもあり、判断は下せない。

娘の性格は、非常に「cautious(注意深い)」「patient(我慢強い)」「quiet(寡黙)」で、性格的に無口になりやすい。それが言葉が遅い一因になっていると思われる。

娘の遊び方を観察してみると、オモチャを見てもどう遊んでいいのか分からず、ただ、オモチャを手に取って見ているだけになっている(普通の子供はとりあえず触り始め、遊び方を見つける)。発達が「fall behind(遅れている)」とはいえないが、これまで学ぶ機会を与えられなかった一部の能力が「欠けている(miss)」ようだ。

ということでした。

オモチャの遊び方については、私は娘に十分オモチャを与えているつもりだったので、パソロジストさんの分析にかなりショックを受けました。パソロジストさんが言うには、娘が持っているオモチャは年齢に見合ったものではなく、彼女の年齢より年少向けであるとのことでした。「ブロックみたいな、繋げて創作して遊べるもの」と「ごっこ遊びの赤ちゃん人形、もしくはキッチンセット」を買い、一緒に遊ぶようにとパソロジストさんにアドバイスを受けました。

また、我が家のトライリンガル(3ヶ国語)環境についてですが、私は娘に日本語と中国語をしっかり身に付けてほしいと考えており、家の中ではあまり英語を使わないようにしています。今、我が家では、

私と娘 →日本語のみ
パートナーと娘 →中国語のみ
私とパートナーと娘3人揃ったら →私とパートナーの会話は英語、しかし娘に話しかける時はそれぞれの言語

を徹底しているのですが、それをパソロジストさんに言ったら、「その調子で頑張って!」と励まされました。

パソロジストさんが言うには、子供が小さければ小さいほど新しい言語を学ぶのが容易であり、日本語&中国語&英語の3ヶ国語を話せるようになれば娘の将来の可能性がぐんと広がるため、子供が小さい今、ぜひ日本語&中国語教育を頑張ってほしい、と言われました。

娘は今の時点(1歳10ヶ月)で、日本語と中国語の単語をいくつか喋り始めているものの、英語の単語が極端に少ないです。このまま英語を疎かにしたら、将来、彼女がキンダーや小学校に入った時に苦労するのではないかと心配していたのですが、パソロジストさんによると、まずは娘の母国語(私が一番娘と一緒に居る時間が長いので、娘の母国語は日本語になるだろうと言われました)を徹底して習得させれば、第二言語(中国語)、第三言語(英語)習得は、母国語の言語能力の助けを借りて、ずっと楽になるとのことでした。(英語は、カナダに住んでいる限り自然と身に付いていくので、今は特別な英語教育は必要ないとのことでした)

反対にやっていけないことは、基軸の言語を決めずに、3つの言語を全て同じ比重で同時に習わせようとすることらしいです。母国語(基軸となる言語)がないまま第二言語、第三言語を習わせようとすると、学習の途中で問題が起こるケースが多いのだそうです。

そして最後に、娘の性格と現在の行動能力を考え、今後、スピーチセラピーを行っていくということになりました。(アセスメントの結果によっては、セラピーの必要がないケースもあるらしいのですが、娘はセラピーが必要と判断されました)

セラピーは来月から始まります。今日のアセスメントの結果は、2週間以内に私のファミリードクターとCommunity Health Centreの担当ナースに送られるとのことでした。

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