[もう1年くらい前の話なのですが、元ルームメイトの“帰国寸前の”友達が、当時私が住んでいたアパートにやってきて来て、「日本に帰りたくない、就職するのがイヤだ」と言っていたことがあります。
その理由を聞いたら、「親に頼んで留学させてもらったけど、実際留学してみて、これがホントに自分がやりたかったことなのか分からない。就職してしまったら終わりだから、その前にまだ何かやれること、自分のやりたいことをやりたい」ということでした。
私はその時、「就職したら“終わり”じゃなくて、むしろ、働いたら自由なお金が持てて、自分のお金でやれること、やりたいことがいっぱいできるよ」と話したのですが、その言葉は軽く無視され、その日はずっと「日本に帰りたくない、就職したくない」と繰り返していました。
バンクーバーは一時滞在の日本人がとても多い街です。観光、留学、ワーホリと身分は様々。皆、期限付きのビザを持ってバンクーバーにやって来ては去っていきます。多くが明確な目標を持ってやって来ているのですが、中には「何をしたいのか分からない→だから、とりあえず留学、とりあえずワーホリ」「今、就職したくない→だから留学、ワーホリ」という人も。
なんかそれを聞くと、「経験として将来役に立つもの」よりも「今、興味の向く道、楽しそうな道、楽な道」を選んでいるような気がします。
10年以上昔、「人生の岐路に立った時は、“What do I want to DO?(自分は何をしたいか?)”ではなく“What do I want to BE?(どんな自分になりたいか?)”を考えて判断すれば、おのずと自分が選ぶべき道が見えるし、選択に迷いがなくなるよ」と、人に言われました。
今思うと、この“BE”の考え方は私に「自己の認識」アイデンティティを意識させる意味でとても役に立ったのではないかと思います。自分は唯一で、他人から影響を与えられるけれどコントロールはされない、だからそれぞれの人生の選択にはむしろ“選択肢”は存在せず、方向性は0から作り上げることができる。
日本人青年一時滞在者の期待と現実 - 実地調査の結果から - (2002年2月)
“自分に対する定義が曖昧なため、セルフ・エスティーム(Self-esteem。他人が思ってくれる自分の姿を、自分のアイデンティティとして捉える)に人生の選択が影響されてしまう。選択肢を与えられないと決められず、自由に決めることができるとなると混乱する。また、今自分が幸せかどうかも他人に左右されてしまう。”
これは少し古いレポートなのですが、観光・留学・ワーホリ(そして移民)の夢の街バンクーバーの実態が現れています。
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