私の彼氏の弟が来月からシンガポールの兵役に就くことになりました。それをメッセンジャーで知った彼は「はああ?マジかよっ」と叫んで(吠えて?)ました。
というのは、彼は兵役を逃れてカナダに渡ってきているからです。彼は台湾で生まれ、13歳で家族と一緒にシンガポールに移民し、17歳で市民権を取ったものの兵役を逃れるために18歳でシンガポール国籍を捨てて台湾国籍に戻し、台湾帰国後即行パスポートを作って徴兵される前にこっそり出国してカナダに来ました(そこまでして兵役から逃げる理由がそれなりにあります。ここではそれに触れませんが)。
そんな彼氏の友人の台湾人の多くは“兵役逃れ仲間”だったりします。彼らから聞くところによると兵役を逃れるのは相当大変なことみたいで、徴兵時の健康診断で病気や虚弱体質などで兵役生活に耐えられないと判断された人、病的に太っている人・痩せている人、極端に視力が悪いなど身体に何らかの問題がある人以外は全員兵役に就かなければいけないそうです。人によっては兵役を逃れるために、銃の引き金を引くために必要な右手の人差し指を(かなり深く)カットし、身体検査で傷跡を見せて「神経が切れてて動かない」などと言って兵役を逃れるのだそうです。
兵役に就く時期は基本的に本人で決めることができますが、18歳で高校を、20歳で2年制大学を、22歳で4年生大学を卒業した時点で次の進学先がなければ、ほぼ強制的に兵役に就かなければいけません。就職は兵役を終えた後に行うものだそうです。
そのため、徴兵のタイミングで海外へ留学して兵役を逃れようとする人がたくさんいます。政府の方もそれを知っているので、台湾は16歳以上、シンガポールでは18歳以上になると、兵役前の男子の海外渡航(旅行・留学)が難しくなるみたいです。そのためか、バンクーバーにいる台湾人の男の子は、まだ簡単に出国できる14、15歳の時点でカナダに来て、それから何度も学生ビザを更新して滞在し続けている子が多いです。
ちなみにカナダ(海外)に住んでいることは台湾の兵役免除の理由になりません。彼らは今でも兵役義務を負っています。それどころか、兵役の年齢に達していながら海外に滞在していること自体が違法行為なので、皆、台湾に帰国できないでいます(帰国時点でパスポートから兵役を済ませていないことが分かり、強制徴兵されるそうです)。そのため彼らは、学生ビザをひたすら延長し続け、カナダ滞在を引き伸ばしています。
私の彼氏もそんな滞在者の一人です。彼自身そういう状態をいつまでも続けることを望んでいないため、来月、両親がシンガポールから遊びに来た時に了解を取ってカナダの移民申請を始めるつもりです。カナダ国籍(永住権)が取れたらその時点で台湾国籍を捨て、完全に兵役義務から逃れられたら、自分が生まれ育った台湾・台北に一度帰ってみたいのだそうです。
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